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「デフレ脱却のために金融緩和を行なう」というのは、単に正当化のための説明にすぎなかったのである。
この政策は、目論見どおりの成果を上げた。
すなわち、本来は長期的に継続できないレベルの円安が継続し、それに支えられて輸出関連企業の業績が回復した。
株価も低迷状態から脱却することができた。
他方において、物価下落は継続したので、ゼロに近い預金金利に対しても、不満はさほど高まらなかった。
ここ数年の日本経済の状況である。
2007年は、このシナリオにほころびが生じた年だったのだ。
物価上昇下で金融緩和を継続してよいか物価上昇は、今後の金融政策の運営に対してきわめて困難な課題を提起する。
原油価格の高騰や原材料価格の上昇によって、タクシーや電気。
ガス料金、食品価格など、生活に密接する財やサービスの価格上昇が顕著になっている。
この状態は2008年にはさらに進み、家計に対してかなり深刻な影響を与えるだろう。
すると、超低金利政策を正当化するのは、難しくなるだろう。
もちろん、電機製品など製造業の大量生産生産物の価格低下が顕著であるため、消費者物価指数はさほど上がらない(ただし、2008年2月の全国消費者物価指数は、前年比1.0%上昇となった)。
だから、形式的に言えば、金融緩和を継続すべきとは言えないことはない。
生活者の観点から「目立つ」品目の物価が上がるのだ。
これまではそうした物価が落ち着いていたので、ゼロ金利政策に対する不満はさほど強くならなかった。
これからは、超低水準の預金金利に対して強い反発が生じるだろう。
こうして、金融政策は深刻なジレンマに直面する。
1970年代から80年代にかけて、先進国にスタグフレーションという病的な状況が発生した。
この病にとりわけ苦しんだのはアメリカとイギリスだった。
これからの世界でスタグフレーションに苦しむのは、日本ということになるのかもしれない。
長期的に著しい差がある日米株価長期的に見ると、日本が抱える問題はもっと深刻だ。
先の内容からも見られるように、1990年代初めと現在の株価を比較すると、アメリカでは約4.5倍になったにもかかわらず、日本は6割弱のレベルにとどまっている。
1人当たりGDPを見ると、日本は90年代の初めには主要国中でトップだったが、いまやOECD諸国中で18位にまで下落している。
個別企業を見ても、同様の傾向が見られる。
誕生してから10年にもならず、IPOを行なってからわずか3年少々しかたっていないGの時価総額が2007年10月末にすべての日本企業を抜き去ってしまったのは、その象徴だ。
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